内向型警備員の読書ブログ

いろんな本に助けられてきました

一生懸命生きない

 

心を病んで営業の仕事を辞めて、心身共にどん底の時、表紙のデザインと帯の一文に惹かれて即購入しました。

読み終えたときの一番の感想は、「もっと早くこの本に出会いたかった」です。

 

理想通りじゃない現状を愛する

「夢見た通りじゃない今の人生は、はたして失敗なのだろうか?」

 

誰にでも思い描く夢がありますが、その夢を叶えることができるのはほんの一握り。

”諦めなければ夢は叶う”という人もいますが、それができない人は別の道を探さなければなりません。

そんな人生は失敗でしょうか?

 

「期待に満たない自分の姿だって、捨てたもんじゃないと思って生きるほうがいい。夢を叶えられないと幸せになれないなんて、思い違いもいいところだ。」

 

夢が叶うのは確かに素晴らしいことですが、叶えられなかったとしてもただそれだけのことです。それで人生が終わるわけではありません。

また別の夢を探すもよし、夢なんか見ずに今の自分にできることを淡々とこなしていくもよし、人生の道は一つではないはずです。

 

「理想通りにならなくても人生は終わりじゃない。僕らは与えられた人生とともに生きていかなければならない。」

 

自分の生き方を肯定し、愛し、大事にして納得する。

他人からみれば独りよがりの自己満足に見えるかもしれません。でも、自分が自分の人生を愛さずして、誰が愛してくれるのか。

まずは現状の自分を素直に認めるところから始めたいと思います。

 

ダメな自分を認める

「自尊感が低い人たちは、自身を過大評価し、素晴らしい人間だという幻想を持っている。この幻想と現実のギャップが大きいほど、悩みも大きくなる。」

 

自尊感(自尊感情、自己肯定感)が低い人ほど、劣等感を感じやすく、自戒の念に陥りやすいそうです。

私もまさに”自分を過大評価している人間”そのものでした。

自分の人生には有意義な意味があり、普通に生きていればそのうち幸せになれる、と何の根拠もなく、漠然とですがそう考えていました。

しかし当然世の中はそれほど甘くなく、幻想の自分に一歩も近づけず、やるせなく、焦り、いつも満たされない。まさに重度の課題評価者です。

 

「自分が何者でもないと認めてから自尊感情が普通レベルに向上したというのだから、人生とは皮肉なものだ。」

 

自分が本当にやりたいことや、自分の存在理由、そして人間の生きる意味など、自分の頭でトコトン突き詰めていくと、答えが出るかどうかはともかく、自分自身への過大評価という幻想は確実に小さくなっていきます。

すると、自分はたいした人間ではなく、平凡で不器用で、幻想の自分とはかけ離れた存在であると悟ることができました。

しかし、それで自尊感情が地に落ちるかというとそうではなく、逆に向上したのです。

身の丈を知るというのでしょうか、自分の仕事や人生に大きな意味を見出そうとしなくなり、小さな幸運や、日常のありふれた出来事にも感謝できるようになりました。

 

一生懸命の人生をやめる

 

「一生懸命生きるのはつらい。それは我慢の人生だから。」

 

”一生懸命がんばる”

昔からこの言葉を聞くと、奮起するよりも心が重くなる自分がいました。

嫌いなことを我慢してやり遂げるという感じをイメージしてしまうからでしょうか。

そういえば、勉強でも何でも、やりたくないけど仕方がないときに限って、「一生懸命、一生懸命」と言っていたように思います。

 

「同じ人生なら”一生懸命”より”楽しく”」

 

今まで何事にもベストを尽くし、一生懸命やれば人生何とかなる、と信じて生きてきました。

しかし、今の自分の現状を思い直してみると、結局何も考えずに、ただやみくもに頑張ってきただけだったように思います。

この歳になって、自分の出来ることと出来ないこと、やりたいこととやりたくないことなどが、ようやくわかってきました。

これからは一生懸命頑張るだけの人生は終わり、良くも悪くも”結果”はあまり気にせずに、人生の”過程”を楽しめる人間でありたいです。