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経済小説だけでなく、伝記小説や歴史小説など、数々の名作を遺してこられた城山三郎さんのエッセイ集。
その中の一項、「ぼちぼちが一番」より。
”人生あわてても仕方がない。まわりはどうあろうと、自分は自分で、たったひとつしかない人生を大事に見つめて歩いていく。気負うことはない。人生はそれほどたいしたものではない。ごく素直に、ぼちぼちと歩いていけばいい。また、ぼちぼちだからこそ歩き続けられるのではないか。”
どんなに一生懸命頑張っても、まったく周りについていけず、気が付けば周回遅れ。
それでも世間に追い付こうとして、何年も無駄な努力を重ねてきました。
その結果、自分というものを無くし、いつの間にか身動きがとれない状況に。
そんな時、このエッセイと出会いました。
今までも、「ぼちぼち行こう」と自分を慰めてきたことはありましたが、どこか逃げ口上のような気がして、いまいち本気で「ぼちぼち」行けていなかったのかもしれません。
ぼちぼちだからこそ歩き続けられる。
とにかく前には進んで行くことができる。
自分のペースで自分の人生をぼちぼち歩く。
そこに広がるのは、自分の人生という唯一無二の景色。
そんなことを気づかせてもらいました。
"静かに行く者は健やかに行く。健やかに行く者は遠くまで行く”
ワルラスという経済学者の言葉で、城山さんは人生の支えにされているそうです。
自分もこの歳になって、親の介護と仕事でいっぱいいっぱいの毎日ですが、高齢者介護は特に、ぼちぼちいかないと精神も肉体もやられてしまいます。
静かに淡々と、自分のできることを自分のペースでぼちぼちやる。
そんな覚悟を教えてくれた本でした。