「社会的成功から乗り遅れまくったら、不幸になるどころか毎日楽しすぎて、ジョーシキっていったい何だったんだろう、進学しなきゃいけないとか、就職しなきゃいけないとか、結婚とか子育てとか老後の蓄えとか、資格も技能もマナーも友達も、なくてもいきていけるものばっかりじゃん。」(P17)
高校生の頃、自分は本当に何も考えない人間でした。
将来とくにやりたいこともなく、ただなんとなく大学に行って、就職して、結婚して、子育てして、年をとる。ただ漠然と、そんなふうに思って生きていました。
しかし高校を卒業して、大学、就職までは何とかいきましたが、その後3回の転職の末、いまは契約社員の警備員。
これといった資格も技能もなく、結婚には全く縁がなく、もちろん友達もおらず、老後の蓄えも、このままでは怪しいものです。
昔の自分なら絶望していたであろうこんな状況。しかし50歳を過ぎてみると不思議と焦りはなくなりました。
「自分の選択した生き方が、正しいとか間違っているとか、なんで人に言ったり、証明したり、認めてもらわなきゃいけないんだろう、とおもってます。そういう目的で人と比べたりするのって、あんまり興味が持てない。だってどうでもいいし、それを知ってどうするんだろう、とか思っちゃう。」(P74)
いい悪いとか、正しい間違っているみたいな相対的な価値観って、物凄く疲れます。
しかしながらこの世の中、これらの価値観から自由になるのはとてつもなく大変です。
でも最近、SNSやYouTubeを見るようになってから、ちょっと見方が変わってきました。
自分と同じか、それ以上に苦労されている人がいたり、傍目には誰もがうらやむような人生をおくっていると思われる人でも、何かしらの悩みを抱えていたり。
そんな風に社会を見てみると、人と自分を比べることが何だかバカバカしくなってきます。
「生き方に限らずですけど、何がベストかっていうのは、ただの幻という気がする。あると思えばある、無いと思えばない。私には同じことのように思えます」(P75)
今まで、しょうもないながらも紆余曲折を経て、何とか生きてきました。
失敗だらけの人生で、世間的にみれば決してベストな生き方ではありませんでしたが、この本を読んで少しだけ、自分の人生を肯定的にみることができるようになった気がします。