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”日本では、勝ち組、負け組という言葉が今でもよく使われる。だが本来、何が勝ちで何が負けか、などというのは、勝利条件を設定するその人自身にしか決められないはずだ。それを社会の側が決めている。これはとんでもなく大きな勘違いだ。”
「社会的に成功してお金持ちになれば勝ち、そうでなければ負け。
結婚して子供を作り、立派な家庭を築けたら勝ち、それ以外は負け。」
ひと昔前までこんな価値観が社会の常識としてまかり通っていた。
今の仕事に就くひとつ前に働いていた会社の社長が、まさにこの価値観が人間としての全てであるかのような人だった。
あの頃に抱いていた違和感を、見事に言語化してくれているのが上記の言葉だ。
もっと早くこの言葉に出会えていたら、その社長に気持ちよく辞表を叩きつけることができたのに。
”100メートルが速い人でも、マラソンでは大負けするのが人生である。なのに、それぞれの特徴を持った走者が、あたかもひとつのレースを走っているかのように見せる。しかも、多くの人がそのことに納得している。勝ち組になろうとしてしまう。こんな社会は危ない。”
今、自分は警備会社で働いているが、そこには本当に色々な人がいて、様々な経験をしてきた人たちが大勢いる。その中でも毎日生き生きと働いているのは、例外なく勝ち組とか負け組とかそんな価値観を無視して、自分の目の前の仕事に没頭している人達だ。
稼ぎの多い人もそうでない人も、家族のために頑張っている人も独り者の人も、しっかり自分を持って生きている人はなぜかカッコイイ。
”自分の習慣や、子供の頃の感動を忘れて、無理に新しい自分になろうとしたり、本当は想像もしていなかった幸せを探そうとしなくてもいい。自分は自分だと、地に足をつけて、落ち着いて淡々と生きていく。誰とも比較せず、自分の心地良さを追求する。”
結局は、自分がどういう人生を生きたいのか、それにつきる。
答えはまだまだ見つからないし、もしかしたら死ぬまで見つけられないかも知れない。
結局、答えはないのかもしれない。
人生の答えが見つかっても見つからなくっても、答えを探しながら生きていくことに意味があるのかもしれない。
そう思わせてくれる本だった。